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第五回 街を温室にするために~異質な人や考え方を受け入れ合う

前回の投稿では、身近な場所をよくするローカルマーケティングについて私の考えをご紹介しました。

 

昔ながらの商店街と親子が出会い、有機的に協働し、ともに望む新しい価値を創る・・・文字で書くと簡単ですが、現実に「街中で化学反応を起こす」ことはなかなかにむずかしいのです。

 

経営権を握る店主の多くは、60代の男性。

小売業の全盛期を知り、自らの舵取りでいままで店を続けてきた自負もあります。弱音を吐かず、先輩から受け継いだ自分たちの商店街活動を何とか・・・と頑張る中、背中で取り組みを見せてきた若い経営者は活動に近づこうとしない。

新たに受け入れたい若い世代、特に「子育て中の母」に対し、店頭での付き合いや家族関係の延長で知ることはありますが、現実的に理解しきれない・・・というのが本音です。

 

一方、子育てをする家族・・・特に母たちの姿は昨今かなり変わってきています。

親子で街デビュープロジェクトでは、「商店街と出会いたい」「地域のつながりを広げたい」赤ちゃんを連れた母親たちが参加をしています。

参加者のほとんどが仕事を持っているか、保育ができる環境が整えば仕事をしたい母たち。仕事では社会的な評価を得、育児中も「自分たちの可能性を試したい」と小さなチャレンジを重ねる意欲的な女性たちです。

 

つながりもなく、時間もない。

街を通るだけでは・・・店主と親子は出会えない。

 

 2010年から始まった親子で街デビューの連続ワークショップは、固まったコミュニケーションを解きほぐし、質の違いを受け入れ合い、信頼や自由に種が蒔ける土壌をつくることを目的にデザインしています。

 

井上美須加さんが提供するはじめましてのワークでは、アートや体を動かすことを通して、自分自身や他人、異質な出会いを楽しみ、協働する動きの練習をする・・・2時間半の内容です。立場や固定概念を外して、シンプルにオープンに出会う練習で、「自分が本当に望むこと」を感覚しながら、出会っていきます。

 

参加者それぞれの視座を新たにしたところで、商店街ツアーで街へご案内。

店主さんは店頭でお出迎えをしてくれます。

サービス精神旺盛な店主が思わず繰り出すパフォーマンスに、親子は感動!

それまで「敷居が高いな」「こわそう」「買わないと出てこれない」などなど感じていた心のバリアが薄らぐひと時です。

親子と店主の新鮮な出会いの中で、店先でのコミュニケーションを知り、街の魅力を紹介し合い「同じものをみても、感じかたはそれぞれで、それでいい」を実感。

 

店主と親子の意見交換会では、店主も親子もストレートに話していきます。

 店先でこわそうに思っていた店主が、実は大変な子ども好きでうれしかった。

 入りにくいと思っていたのは、お店のせいでなくて、自分たちの心にバリアがあったのかもしれない。

 お客さんの好みに応じて、きめ細やかな商売をしていることに感動。

 今まで、こんなに豊かな街に住んでいたことに気づかなかった。もったいない!

という母たち。

 親子のまなざしが温かい。

 当たり前すぎて自分たちでは見落としていたところを「魅力」と捉える視点が新鮮。

 本当は、スーパーだって百貨店にだって負けないいい品が、商店街にはあるんだ。

 お得な買い物もあるんだよ。

という店主さん。

 

異質な人々が出会い、同じ街をみて未来を語る・・・その瞬間に、冷えた商店街は温室になりました。

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*1:商店街ツアーを終えて、発見したお店の魅力を有志がコラージュでまとめています