第九回 主体的に動く

親子が商店街にデビューして、親子×商店街のコラボレーションで住みたい街をつくる。商店街に若い世代のニーズやアイデアを吹き込み、自分達で活躍を造り上げる主役は赤ちゃんを連れた若い親達だ。

 

和田商店街に生まれた親子の商店街応援団「わだっち」は、主たる活動メンバーが4月の職場復帰を境に毎年入れ替わる。はじめは、イベントへの参加者だ。赤ちゃんが生まれ「子ども達のふるさとになる街」に関わってみたい…イベントの面白さから「イベントの作り手」に変わっていく。

 

参加する「お客さん」である母達のほとんどは、出産するまでは社会の一線で活躍する働く女性だ。様々な経験やスキルを持っている。発信力、専門的な知識や技術、好奇心、語学力に表現力。セカンドキャリアを模索し、職場戦線に戻る前に自分の可能性にチャレンジする。子どもを持つことで意識が地域社会に向けられ…イベントをきっかけに商店街にデビューしようと思う積極性や地域を理解してみようと多様性に開かれる。「仕事を休んでいる時だから、ささやかでも社会の役に立ちたい」と社会貢献に対する意識も高い。

 

商店街応援団わだっちは、仕事に子育てと多くの役割と責任を担う母達のオアシスであり、協働を楽しむ刺激的な場所だ。自分の秘めた力を発揮したり、新しい役割にチャレンジする場でもある。フラットな関係性で安心して本領を発揮したり、見守ったりできる。失敗を乗り越える強さや、人に委ねる信頼が生まれる。

 

共働きが当たり前になりつつある今、一世代前の主婦像を、彼女達に当てはめようとするのは的外れだ。

「主体的に動く」

「できる時できるコトを動く」

子育てで磨かれた柔軟な思考と感性。協調的な姿勢が、活動を重ねるごとに進化しユニークな活動が次々に生まれる。

 

彼女達をさらに元気づけるのが、異世代の店主とのかかわり合いだ。「今日もお疲れさまね」「ありがとう」「よろしくお願いするね」と、細やかな声かけが彼女達に前へすすむ勇気を与えている。

 

できる時にできるコト…は、私を和田商店街に引き会わせてくれた阿真京子さんの言葉だ。柔軟な思考が無理な動きを抑え、時に飛躍的なパワーを発揮する。

マニュアルや管理より、柔軟で主体的な動きやリズムをつくることが、最強チームの秘訣だ。母達の主体的な動きが、次の時代を生き抜くヒントを教えてくれていると私は思う。