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第十回 親子で街デビューする効用

2016年11月、東京商店街グランプリを和田商店会が授賞した。並みいる商店街の中で、小さな商店街が6年に渡るチャレンジが評価を受けたことは、長年に渡り商店街を育ててきた店主と住民の喜びになった。

 

この年の瀬に、和田商店街の店主達、支えた親子の応援団「わだっち」、マッチングをサポートしたプロメンバーが集まり、この6年の振り返りを楽しんだ。

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6年前に出会った店主は、「親子が商店街にデビューする…コンセプトが面白い!」「協力すればいいのかな?」と軽い気持ちでスタートしたと語っていた。

地域新聞の発行や商店街ホームページのコンテンツづくり…親子が商店街にデビューするイベントの企画運営と…親子が商店街を楽しむ様々な活動に「びっくり」して、自分たちもこのままじゃいけないと奮起。気がつけば、商店街の長年の課題だった「若い人たちでにぎわう商店街」「店主が積極的に未来を考えられる商店会」になってきた。

グランプリはうれしいけれど、「商店街の日々の日常が豊かになり、若い人たちと応援しあい助け合える商店街になったことは奇跡だし宝」という。

 

プロジェクトのもうひとつの主役である親子たち。この街に出会った頃ぼぼ全員が「今だから言えるけれど、この商店街で活性化…大丈夫かな?と思った」と、実はかなり及び腰だった。

 

今では、街を通るだけであいさつが出来て、子どもの成長を見守ってくれる商店街は貴重な存在になった。二人目の出産を商店街に報告に行ったり、学童のお迎えに間に合わないお母さんと小学生の待ち合わせ場所が商店街のお店に…ということもあるらしい。プロジェクトの活動をきっかけに、商店街近くに移住したり、引っ越ししたい!と考える親子も少なくない。

 

商売にかける店主のこだわりと、品質の違いを実感したから「和田でも他の街でも、個人商店を選んで買うようになった」「魚は他では買えない!」という親子も増えた。いい店を選ぶ経験とチャンスがないだけで、安さだけではないお店の実力を知れば、若い世代は選んでくれる。

 

商店街の応援団「わだっち」として活動することで、コミュニティの一員としての安心感を得、この街がホームと思えるようになる…という声もあった。

初対面の印象と今のいい意味でのギャップが、店主とのふれあいを楽しむことにつながった。そして、これからの変化に希望を持っている。自分達のささやかな関わりが、店主を勇気づけて、街を変えている。

商店街の優れたところを知ることで、街への誇りが生まれる。商店街の良さを知れば、他の商店街への尊敬にもつながっている。

 

出会って6年を経た商店街の風景は、実はあまり変わらない。それでも「この商店街は素敵」と思えるのは、「人と人が出会っている」から。心を開いて出会ってみれば、見える景色は変わる。商店街も親子も…そして多くの人たちにも、出会ってみれば商店街はパートナーであり、パラダイス。

 

自分たちで造った「住みたい街」の味わいは、また格別なのだ。